札幌高等裁判所 昭和26年(う)14号 判決
趣旨は本件発生当時神光丸には乗組員以外には誰も乗船しておらず、しかも本件で起訴されなかつた他の乗組員鈴木四郎等も起訴された被告人等と共犯の疑が濃く、もし同人等も共犯であるとすれば、結局同船には犯人以外の者は乗船していなかつたので被告人は無罪となるべき筋合のものであるから、この事情を刑を量定するに当つて斟酌すべきであるというのに帰着する。然し所論の事情を斟酌するにはまづその事実の存否を確めなければならず、その結果右の事実の存在が明らかとなれば、問題は単に量刑の当不当のみに止まらず、事実認定をも左右するに至るから、論旨は量刑に当り右の事情を斟酌されたいというけれども、結局原審の事実誤認を指摘して無罪を主張することになるのである。然し右控訴趣意補充書は控訴趣意提出期間経過後の公判期日に提出されたものであるから、その主張は右期間内に提出された控訴趣意書の内容を詳細具体的にするに止めるべきで、之を逸脱することは許されないといわねばならない。而して右控訴趣意書はただ原判決の量刑不当を主張するのみであつて、この範囲を越えて事実誤認を主張する右控訴趣意補充書の一は不適法であるから、この点に対しては判断をしない。